Research

太田研究室で行っている研究,行ってきた研究を解説します.

We introduce our research subjects.


タンパク質複合体の構造変化の分類/Classification of structural change of protein origomers

タンパク質の多くは,複合体構造をとって機能します.機能する時には構造変化を起こすものもあります.複合体の特定の機能と,複合体の特定の運動には関連性はあるのでしょうか.私たちは立体構造変化を記述する独自手法(Motion Tree)を開発したので,それらを利用して,複合体の構造変化と機能の相関を研究しています.

Copyright © 2020 OTA Laboratory All rights researved.

ハブタンパク質の性質/Characters of hub proteins in the protein-protein interaction network

タンパク質-タンパク質相互作用ネットワークでは,多くのタンパク質と相互作用するハブタンパク質が重要なので,その性質についてはいろいろな研究があります.私たちは細胞内で多重局在性を持つタンパク質がハブタンパク質となる傾向があることを見出しました.また,ハブタンパク質と天然変性タンパク質や翻訳後修飾との関連も研究しています.

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タンパク質の構造変化の記述法/Discriptions of protein structural change

タンパク質はリガンドを結合する時などに構造を変えます.こういった構造変化と分子機能とは密接な関係があります.これまでにタンパク質は大きなドメイン運動をする,とか局所的なループ運動をする.といった知見は報告されていたのですが,多様な運動を同じ基準で記述する方法はありませんでした.私たちはタンパク質の運動を系統的に記述する方法として,MotionTreeを開発し,改良を加えています.

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タンパク質の会合,相互作用/Protein oligomerization, Protein-protein interaction

タンパク質の中には会合し,四次構造をとることで初めて活性をもつものがあります.また,会合状態を変化させることで情報伝達を担うものもあります.会合状態や相互作用の相手や形態がどういう因子によって決められるのかをデータベースを利用して研究しています.これまでに相互作用面の中心が疎水的なアミノ酸に置換され,その周辺部位が突き出すことにより平滑な相互作用面が形成されること,非疎水的な短いループが相互作用面を補完するのに利用されることを発見しました.

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ミニマムゲノム,ミニマム生物モデル/Minimum genome

どのくらいの構成部品(タンパク質)があれば,生命という装置を作ることができるのでしょうか?ゲノム配列が決定されてから,最小ゲノムセットを求める試みが多くなされるようになりました.今までに提出されたミニマムゲノムの定義や相互の関連を調べ,生命に必須な要件を洗い出し,相互作用やネットワークを定義することでコンピュータ上にミニマム生物モデルを構築したいと考えています.これまでにバクテリアのゲノム比較とパスウェイデータを利用して,必須な細胞機能を推定しました.遺伝情報処理にかかわる部分は共通細胞機能として,それに基質を供給する代謝機能は生物種依存細胞機能として同定されました.

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酵素の構造変化,基質遮蔽と反応機構/Conformational change, substrate-shielding, and reaction mechanism of enzymes

タンパク質が機能を発現する時にはしばしば構造変化を伴います.構造変化の様式と分子機能の関係を,アノテーションが豊富な酵素を題材に調べています.これまでに,加水分解酵素は構造変化せず基質を水にさらしたまま反応を行うのに対し,転移酵素は大きく構造変化し基質を水から遮蔽することを見いだしました.同じフォールドに属す加水分解酵素と転移酵素では,転移酵素がマルチドメイン化やオリゴマー化することで体積をかせぎ,基質を遮蔽することなどを解明しました.

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天然変性タンパク質/Intrinsically disordered protein

近年,孤立した環境では立体構造をとらないのに機能を持つ天然変性タンパク質が注目されています.このタンパク質の特徴を調べるために,天然変性タンパク質のデータベースを作成しています.研究室内にアノテーションチームを発足し,データベースを1から作成し公開しました.また従来天然変性領域はX線結晶構造解析の欠損残基から定義されておりNMR構造はあまり考慮されていませんでした.NMR構造の構造揺らぎとX線構造の欠損残基を比較し,相関が最も良くなる揺らぎの値を決めることで,NMR構造から天然変性領域を定義する方法を提案しました.

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複合体の立体構造比較法/Structure comparison of protein complexes

タンパク質の立体構造を比較する方法はあまたありますが,複合体構造を比較する方法はあまり提案されていません.複合体構造こそがタンパク質機能の解明に重要なのに,そしてその構造数は近年飛躍的に増加しているのに,自動比較法がないと研究が深まりません.そこで,二次構造要素を用いたタンパク質の立体構造比較法を複合体比較法に素直に拡張することで,新しい方法を開発しました.私たちの方法は既存方法と同程度の良いパフォーマンスを示し,かつ高速という点が特徴的です.会合状態が異なる場合も比較ができますし,構造変化の大きさからの構造分類も可能です.

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タンパク質のドメイン構成/Protein domain architecture

ほとんどのタンパク質はいくつかのドメインから構成されています.こういったドメイン構成を変化させることで生物は進化してきたとも考えられています.例えば,原核生物のタンパク質と真核生物のタンパク質を調べると,進化の結果あらたに発明されたドメインは少ないのに対し,ドメイン構成は多様化していることがわかります.ドメイン構成からみた新機能獲得の歴史をたどりたいと思っています.


タンパク質のフォールディングシミュレーション/Simulation of protein-folding

最近は小さなタンパク質であれば分子動力学でフォールディング過程を観察することができるようになりました.東工大のグリッド計算機をフル活用して小さなタンパク質のフォールディングを調べています.フォールディング過程を調べる新しい方法,軌道アラインメント法を開発しました.観察結果を蓄積し,パスウェイ理論やファネル理論をしのぐような新しい概念を提出するのが夢です(with 横市大).図はフォールディング軌道を分類した系統樹です.

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タンパク質のフォールド認識/Protein fold recognition

タンパク質のフォールド認識(構造認識)は,タンパク質の配列から立体構造を予測する方法の1つで,既知立体構造データベースから,配列と適合する構造を選びます.いままで構造選択時に利用するスコア関数の研究を行ってきました.配列プロフィールを基盤とする新世代のフォールド認識法が出現してからは第一線から少し離れてしまいましたが,構造予測のコンテスト(CASP)に出場したこともあります.図はCASP3で予測的中と認定された,Target83の予測構造と実際の構造(答え)です. 「CASPy奮闘記およびCASPyアシロマへ行く」も参照してください.

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タンパク質のデザイン/Protein Design

立体構造構築原理の理解度を確かめるには,自分たちの方法でタンパク質を設計して,思い通りだったかを検証することが必要です.また,自由にタンパク質の形がデザインできれば新しい形を作ることもできますし,薬の設計などに役立つかもしれません.フォールド認識で利用するスコア関数やモデリングツールなどを利用してターゲット構造を満たす配列を設計し,構造形成能を実験的に確かめています(with 理研).図にデザインの対象としたリプレッサの構造(左)と,コンピュータでデザインしたタンパク質の理論モデル(右)を示します.

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